婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 私の記憶の中のマロンはフワフワとした毛並みとくりくりとした大きな瞳。顔つきもあどけなくて、赤ちゃん赤ちゃんしてたわ。なのに、今のマロンは毛並みが落ち着いてベルベットのようだし、顔もキリッとした感じで凛々しくなってる。
 いえ、少しずつ大きくなっていると感じてはいたけれど。
 しばらく見ないうちに、お兄さん猫に成長していました。

「マロン、おいで」

 リッキー様が呼ぶとマロンは抱っこされましたが、腕からはみ出しています。この前まで手のひらサイズの庇護される小さな子猫だったのに。動物の成長って早いわ。

「フローラちゃん、お久しぶりね。元気になってよかったわ」

 マロンの成長にびっくりしている私の目の前でアンジェラ様から声がかかりました。

「挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。今日はどうぞよろしくお願いいたします」

 カーテシーをして礼を取った私にアンジェラ様は優しく微笑んでくださいました。

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