婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 手をつなぎリッキー様の思いのままついて行くと、やがて見覚えのある景色が目の前に広がっていきます。

 通いなれた廊下。広い廊下に置かれた調度品。壁に飾ってある絵画が以前とは変わっていました。変化したものがわかるほど通っていた場所。

「リッキー様。ちょっとお待ちください。これより先は……」

 立ち止まりかけて躊躇する私に

「だって、一緒に遊びたいもん」

 ぷくとほっぺたを膨らませるリッキー様。

 私達の事情は知らないでしょうから、無碍に断ることもできません。

 元々、仲の良い叔父と甥ですもの。遊びに行くのは自然な事。
 こちらの事情に幼いリッキー様を巻き込むわけにはいきませんものね。大人の対応をすればよいだけ。

 私がいなくても困らないでしょうし、宮まで同行して、すぐに引き返せばいいわ。顔は見ずに退散すれば何も問題はないでしょう。

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