婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「エルザ、私はここまでよ。リッキー様をお連れしただけ。だから、ごめんなさい」
「せっかくですから、ここでゆっくりなさってください。わたくしたちも待っておりましたから。少しの間だけでも、お願い致します」
頭を下げるエルザにこれ以上嫌だとは言えず困ってしまいます。
「ローラおねえちゃん。僕、ケーキを食べて、お利口にして待ってるからね」
トコトコとそばまで来たリッキー様の健気な姿を見ると断るのも大人げないような気がしてきました。
少しの間だけなら、レイ様のご迷惑にならないかしら。
「レイ様は、その、大丈夫でしょうか?」
「大丈夫ですよ。サプライズだったので、ちょっと固まっていらっしゃるだけだと思いますよ」
クスクスと笑うエルザ達。
私の訪問はレイ様をそんなに驚かせたのかしら?
そうよね、プロポーズをお断りして逃げたのだもの。二度と宮には足を運ぶことはないと思っていたから。