婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「あなた、淑女の鏡と評判だったそうね。一人の令嬢をいじめていじめ抜く。それのどこが淑女の鏡なのかしらね。片腹痛いわ」
「いじめるだなんて、そんなつもりは……」
「そうよね。あなたはフローラちゃんのために指導してやっている。身の程知らずをわからせ指南してやっていると思い込んでいたのですものね」
アンジェラはビビアン様に目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。凪いだ水面のような表情で見つめている。
公爵令嬢としての矜持を持つのは結構なことだけれど、傲慢になってはいけない。
「社交界でも足の引っ張り合いはあるわ。それにも限度というものがあるの。心理戦も難しいのよ。下手をすれば、破滅になりかねない危ないことに身を置くなんてしないに越したことはないわ。そう思わない? 度を越せばそれ相応の報いを受けるのよ。それが原因で破滅した人間なんて掃いて捨てるほどいるのに。知らなかったのかしら?」
パシンと扇子を閉じた小気味よい音が部屋の中に響いた。