婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「そのままの意味だよ。リリア、お前を貴族籍から外すことにした。平民として生きていく方が幸せだと思ってな。貴族の世界は窮屈だろう? 身分制度に囚われるし社交だって色々と駆け引きもある難しい世界だ。マナーにも厳しい。教養も試される。力がなければ簡単に蹴落とされるところだ。そんな世界にリリアは相応しくないだろうし、生きていけないだろう。それよりも広くて自由な世界で生きていく方がリリアのためだ」

「エドガーは?」

「彼は侯爵家の嫡男だ。住む世界が違う。次期当主のエドガー殿と平民のリリアでは身分が違いすぎる。これから先、交わることはないだろう。貴族の間でも、侯爵家と男爵家では身分が違うんだ。本来なら、結ばれるはずのない婚約だったんだよ」

 冷静に諭すように父は丁寧に説明をした。どこまで理解してくれただろうか。

「あたしはエドガーと結婚するの。エドガーしかいないのに。エドガーにもあたししかいないの。どうして、どうして。イヤ。イヤだ。修道院なんて行きたくない。エドガーのそばにいる。エドガーの所に行くー」


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