婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 今回の失態以上の失態は社交界に知れ渡っているでしょう。王族への無礼なふるまいはあってはならないこと。高位貴族の嫁としては失格だわ。

 テンネル侯爵家の評判にも関わるだろうし仕事に差し支えがあってはいけない。
 エドガーの気持ちも考慮してあげたいけれど、家の存続も考えると問題児を抱え込むのもリスクが大きい。
 色々意見を交わしながら主人とも話し合いを重ねていた。
 
 何日も頭を悩ませているところにチェント男爵家からの白紙撤回の申し入れがきた。彼女を扱いきれないことは目に見えていたので承諾した。
  
「それでリリア嬢はどうなったのかしら?」

「リリアさんは貴族籍を抜けてコンドール修道院へ行くことになったそうですわ」

「除籍ってことは平民になるってことよね。思い切ったことをなさったのね」

「平民の方が幸せになれるだろうからとのことでしたわ。コンドール修道院は職業訓練もあって、社会復帰の道もありますからね」

 男爵はリリアさんが平民としても暮らしていけるように考えたのかもしれない。

「そうね。でも、大きな代償となったわね。そういえば、エドガーはどうなの? 元気にしているのかしら」

「それが……」

 エドガーと聞いて言い淀む。

 わたくしにとってこれが一番の大問題なのだった。

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