Purity ~君を救える術があれば~
君を奪い去りたくて
 こんなことでどうするんだ!
 初めて不倫の事実を告げられた、あの夜を思い出し、自分を奮い立たせる。
 純ちゃんを救うため、僕に出来ることなど少ないことは判っているが、最善を尽くさなければ。
 だから僕は、淋しがる純ちゃんに呼び出されるよりも前に、
「今から会える?」
 電話一本入れては、純ちゃんの部屋を頻繁に訪ねるようになった。
 少しでも笑って欲しいから、彼女の好きな洋菓子の手土産と、頭を空っぽにして楽しめるようなDVDを持って行って、一緒に観た。
 純ちゃんが不倫をやめられない理由が、淋しさならば、僕がその淋しさを埋めよう。
 求めているのが父性なら、精一杯背伸びしてでも、彼女が無防備に甘えられる存在になってやる。
 いっそ、都合のいい男になっても構わない。
 彼女が不倫ではない恋を見つけられるまで、淋しさを埋めるだけの存在でもいい…本気でそう思った。
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