Purity ~君を救える術があれば~
穏やかな日々の終わりに
 そして今日もまた、池袋のテーマパークに出掛けた帰り、純ちゃんが
「まだ早いから、寄っていってくれる…?」
 縋るように言うので、もちろん、と答えた。
 近くのレンタルビデオ店であれこれ物色して、コンビニにも寄って純ちゃんの部屋へ向かう。
 相変わらず心から笑えていない様子とはいえ、それでも以前よりずっと笑顔が増え、行動にも少し変化が感じられた。
 僕と会う時、不倫相手に言い訳することがなくなったようだ。
 時折、不倫相手と思われる相手から、電話なりメールが来ても、彼女はもう、一切無視している。
「出なくていいの?」
「いいの。今、純くんと居るんだから。それより、試験前になったら勉強教えて欲しいんだけど、いい?」
「それは構わないけど、純ちゃんのほうが先輩なのに教えられるかな」
「実は去年、ドイツ語の単位を1つ落として…恥ずかしいけど」
「あはは、それなら教えられるかもしれない」
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