Purity ~君を救える術があれば~
ふたりだけの夜
 僕自身、自分らしくない言動に驚きつつ、純ちゃんのほうを振り返る。
 彼女はただ唖然としているが、さっきまで僕が持っていた荷物を抱えていて、重そうだ。
「あ…!ごめん、純ちゃん。重いよな?こんな沢山持たせて」
 そう言って、小さな手から荷物を取ると、
「ねえ、純くん…さっき、何て言ったの?」
「え?」
「私だけを愛する人間がなんとかって…」
 勢い任せに言ったことだが、その言葉に嘘偽りはなかったので、
「あんな形で云いたくはなかったけど…俺は、今も昔も、純ちゃんだけが誰よりも大事だよ。純ちゃんが悲しいと、俺も悲しい。だから、笑ってほしかった。今すぐにとは言わないから、いつかは俺とのことを考えてくれないか?」
 そんな風に、不器用にしか伝えることが出来なかった。
 ただ戸惑うばかりで言葉の出ない純ちゃんに、
「とりあえず、部屋に戻ろう」
 そう促した。
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