Purity ~君を救える術があれば~
孤独な少女
 かつて、転校した純ちゃんからの手紙には、なるべく楽しかったことだけを書こうとしているのが感じられたが、ある時、僕の方から 
「もし、身近な人に言えない悩みがあれば、なんでも打ち明けて」
 そんなことを書いたことがある。
 あれは、中学生の頃だっただろうか…。いつもより、だいぶん長い手紙を受け取ったことがある。
 そこに書かれてあったのは、純ちゃんの父親について。
 父親が、彼女に全くの無関心だという。母親のほうは、かなり厳しいのに。
 彼女には優秀な兄が1人いて、父親の愛情は、兄だけに注がれていることに気付いてからずっと、とても哀しく虚しい…初めてそんな感情を吐露された。
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