桜が咲く前に



「ひよちゃん、こっちは日比斗(ひびと)っていうの!私たちと同い年だよ、キッチン担当!」




「あ、小松妃依です!今日からよろしくお願いします!」



「…よろしく」




わあ、目が合わない。




男の子、日比斗くんはその一言で、着替えを済ませてすぐ控え室から出ていってしまった。




一緒に働いている歴一年、アンド幼馴染の花ちゃんが言うには、ただの人見知りらしい。




けれど、私も社交的には含まれない性格の持ち主なので、仲良くなれるか心配だった。









「うーん…?」




朝から学校で放課後からはバイト、夜には千紘先輩宛てのメッセージ作成。二月に入ってから、ほぼ毎日そんな日々を送っていた。




一週間経って一文も完成していないのに、眠気に負けてスマホの画面はそのままに寝てしまう。




そうすると案の定充電切れで、千紘先輩からのメッセージを返せなかったりもした。




“千紘先輩へ”




長くても千紘先輩なら読んでくれるのは間違いないけれど、出来るだけ読みやすくしたい。




…好きになったきっかけとか、入れた方がいいのかな。


< 14 / 47 >

この作品をシェア

pagetop