桜が咲く前に



3秒後、私は千紘先輩の背中にゆっくり手を回す。腕の力が緩んで、少しかがんだ先輩に合わせて自然に目を閉じた。





―――10秒後、唇が触れた。





桜が咲く前にもらった千紘先輩の恋。





“好き”のお返しの“好き”は、どこにもしまっておけないほど大きくて。






今日は“良い日”だって、そう思った。






「ま、まって、過ぎてる…絶対過ぎてる!ちひろ先輩、打ち上げは!?」




「…手退けて」






若干のルール違反は、今日だけ目をつむってあげようかな、なんてね。


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