キミの魔法にかけられた~隣のデスクの無愛想な後輩が急接近してきて!?~



「先輩。遅いと思ったら何やってんですか?」

慌てて資料を拾い出したところで、聞き慣れた低い声が耳に入る。


「……か、甲斐くん」

「部長に言われて見に来たら……あー、もう。大丈夫ですか?」

なんてしゃがみ込む私を覗き込んでくるのは、2つ年下の後輩だ。
私の方が社会人歴は長い筈なのに、溜め息をはかれてしまう始末。


「ご、ごめ……」

「どーすんですか、これ」

「ど、どうしよう」

セッティングも出来ないなんて、また部長に怒られる、後輩にも呆れられてしまう。
そう思うと、情けなくて目にじんわりと涙が溜まっていく。


「はぁ。ちょっと見ないで下さいね」

溜め息と共に、甲斐くんの大きな手が私の視界をふんわりと遮った。


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