鳥籠の姫
決められた運命
地位ある家庭に生まれた人の人生は、生まれた時から決められているようなものだ。お金持ちしか通えない一流の学園に通い、立派な淑女や紳士になれるように習い事に励み、ゆくゆくは親の決めた相手と結婚する。雛鶴美桜(ひなづるみおう)も、そんな人生を歩んでいる。

雛鶴グループ待望の女の子として生まれた美桜は、幼い頃からピアノや英会話、日本舞踊に礼儀作法などを教えられ、お金持ちしか通うことのできない学園に通い、親に言われた通りに生きてきた。

そして、美桜が十六歳になった春のこと、美桜は豪華な振袖を着せられて、とある料亭へと連れて行かれた。そこでは、美桜より四つ歳上の男性が男性の両親と共に着物を着て微笑んでいる。戸惑う美桜に、美桜の両親はニコニコしながら言った。

「美緒、この方があなたの未来の旦那様になる人だよ」

「初めまして、紅露香音人(こうろかねと)と申します」

紅露グループは、昔から雛鶴グループと大きな取引を結ぶ関係にあった。その信頼を深めるため、互いの子どもを結婚させようと両家の親が進めたのだ。所謂、政略結婚である。
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