鳥籠の姫
束縛
それから四年の月日が流れた。美桜は二十歳になり、私立大学に通っている。香音人は二十四歳になり、会社の次期社長になるべく社員として研修中だ。二人の関係は、婚約者同士であることに変わりはない。美桜が大学を卒業したら、結婚をすると互いの両親たちは話している。

本来なら、学園の高等科を美桜が卒業した際に結婚をするはずだった。だが、美桜は大学で学んでみたいことがあり、先延ばしにしてもらったのだ。

美桜が入学した大学は、お金持ちの人ばかりが通っている場所ではなく、一般庶民も通っている。香音人や両親たちはいい顔をしなかったが、美桜は「男性とは関わらないから!」と何とか親を説得し、大学に通っている。

(まだ香音人さんに対して、恋愛感情は抱けていない……)

香音人とは何度か会ううちに少しは話すことができるようになったものの、微塵も少女漫画のような胸の高鳴りを感じることはない。それどころか、大学に通うようになると優しく微笑む香音人に対して「おかしい」と思うようになっていった。
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