鳥籠の姫
「僕の美桜は今日も可愛い!相変わらず照れ屋さんだね」

香音人は、美桜が学園を卒業する少し前からスキンシップをやけにするようになった。好きでもない異性とのスキンシップに美桜は少し戸惑いを感じたものの、「婚約者なんだから」と母に言われ、大人しくそれを受け入れている。

しばらく抱き締められた後、体がゆっくりと離れる。身支度をようやくさせて貰えると美桜は思ったのだが、「これを受け取ってくれない?」とリボンがつけられた箱を手渡された。中には、フェミニンな大ぶりの花がモチーフにされたピアスが入っていた。華やかで可愛らしいピアスには、ピンクトルマリンが使われている。

普通ならば、恋人からアクセサリーをプレゼントして貰うと喜んでしまうものだろう。だが、美桜は贈られたピアスを見て困ってしまう。

「香音人さん、私、会うたびにプレゼントを貰っているような気がします。プレゼントを貰うのは、もう今月で四回目です」
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