鳥籠の姫
籠の外には出られない
想いを自覚したその日から、美桜の頭からはさらに篤人が離れなくなっていく。大学内でも積極的に声をかけ、彼のことを少しでも知りたいと思うようになっていった。

「小花井くんは、どっちがいいと思う?」

香音人の家で開かれるパーティーに出席することになった美桜は、スマホで撮った二着のドレスを篤人に見せる。一着は腰にリボンのついたミニ丈の薄いピンクの可愛らしいドレスで、もう一着はシャンパン色のロング丈の大人びたドレスだ。

「お嬢様はパーティーに出席しなきゃ行けないんだね。大変だなぁ」

「本当は行きたくないんだけどね」

煌めくドレスに目をぱちくりとさせている篤人の隣で、美桜は自分の足元を見つめる。笑顔を貼り付けておかなくてはならないパーティーよりも、篤人とナイト上映の映画を観たい、それが美桜が今思っていることだ。

「う〜ん……。俺はこっちのピンクのドレスがいいと思うよ!雛鶴さんってすごく可愛いから、綺麗系より可愛い感じの方が似合うと思う」
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