赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました


「あれほど狂暴な感情を、俺は知らない」

叔父さんみたいな怒鳴り声じゃないのに、そこに込められた感情がありありと伝わってくるような声色に、思わず胸が詰まる。

怒りや悔しさが混じったとても険しい声だった。

それは、私を想う裏返しでもあって……それがわかり、唇をかむ。
そこまで想ってくれていたのに、どうして……。

「学生時代のバイト禁止だとか、大学進学を反対したのとか……あと、結婚してからの外出禁止は、叔父さんの件と関係があったんですか?」

ひとつひとつ、疑問をぶつけていく。
やり方を間違えたせいで、積み上がるだけになってしまった疑問を、ふたりできちんと解決したかった。

「ああ。先日会ったのは偶然じゃない。あの男は、ずっと美織を探し回っていた」
「え、なんで……まさか復讐ですか?」

私の告げ口を怒って、恨みをはらすために……?と思い青くなっていると、匡さんは少し笑ってから首を横に振った。

「あの男はモラハラやDVの気質もあったし、ギャンブル依存症でもあった。例の事件以降、離婚して色々な女性のところを転々として生活してきたみたいだが、女性との関係が切れるたびに、美織の現状を探るような動きを見せていた。父親とうりふたつの自分が頼み込めば美織は断れないと踏んだ可能性が高い」
「でも……だったら、もっと接触してきてもおかしくない気がするんですが」


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