赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました


チャコールグレーのタキシードに身を包んだ匡さんは凛々しさと美しさを併せ持ち、もういっそ神々しくもあるほど。

分不相応なほど豪華なウエディングドレスを身にまとっている私よりも招待客の視線を集めていると言っても過言ではないし、それが当然だと思うほど今日の匡さんは素敵すぎる。

本当に結婚したんだなぁ……と見とれながらしみじみ思っていると、私の視線に気付いた匡さんがこちらを見た。

「どうかしたか?」

落ち着いていて艶のある声が好きすぎて、胸が締め付けられるのは毎度のことだった。

「いえ。なんでもありません」

どこをとっても完璧な匡さんになんとか笑みを返してから、広すぎる会場を見渡す。
両家の親族に、小学校から大学までの友達、そして桧山グループとして仕事上関りのある偉い方たち、三百人ほどが祝福してくれている。

シャンパンの注がれたグラスの中で弾ける泡。ワインレッドの絨毯と高い天井から照らすシャンデリアが目を引く、アンティーク調の重厚感漂う会場。

私には勿体ないほどのウエディングドレスやティアラ。隣には大好きな匡さん。

これ以上の幸せなんてない。
そう考えた瞬間だった。


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