赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました


匡さんは、私の目から見ても……きっと、他の誰から見ても恋愛に対して淡白だ。だから祥子さんだって縁談をたくさん用意したのだろう。

匡さんが私で手を打ったのは、身近にいて、しかも自分を好きなのが明白で裏切らないと踏んだからかもしれない。
仕事で疲れて帰ってくるのだから、家にいる人間はそれなりに信用がおけて、自分に従順な方がいいに決まっている。

小さい頃からの仲だし、恋愛感情はなくとも、少しの情くらいは匡さん側にだってある……と思う。

だったら、改めて誰かを探すよりは手間も省けるし、うちは一般家庭で、しかも雅弘おじ様とも昔からの知り合いでおかしなしがらみもない。

跡取りを望むなら、若い方がいいとも考えたのかもしれない。

トップミュージシャンや有名俳優が結婚する際、売れていない時代から支えてくれていた一般女性が相手だと報道されると、〝純愛! 一途! 素敵!!〟とコメンテーターがこぞって絶賛しているけれど、あれと一緒な気がした。

世界的にも名を馳せる桧山グループの御曹司が、有名モデルやどこぞの令嬢と結婚するよりも、どこにでもいる普通の子と結婚した方が株が上がる。

しかもそれが幼馴染で、その上両親同士も幼馴染となれば純度も好感度もぐんぐん上がりそうだ。

私はよく知らないけれど、そういったことで会社の株価も上下すると聞いた覚えがあるし、だとしたら私も少しは桧山グループの利益に、匡さんのためになれたのだろうか。

「そっか……なるほど」

だから私が選ばれたのか、と思いのほか納得のいく推理が頭の中で展開され自然と声が漏れた。


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