この恋を色で例えるなら

2枚目

いつもの帰り道に雨が降り注ぐ。
結局、昨日は部内コンテストに使えそうな写真は撮れなかった。一応、今日もカメラは持ってきたから公園に寄ろうと思っていたけど、あいにくの雨だ。

昨日の公園を通り過ぎるついでに少し覗いた。
雨の写真は好きだけど、雨とマッチするものがここにはない。まあ、雨に濡れた花とかは綺麗だけど、以前に何枚も撮っている。
コンテストはもう明日だから、カメラに入っている写真を出そう。そう思って帰ろうとしたとき、屋根がある休憩場所で絵を描いている人がいた。
あ、もしかして昨日の人かな。
なんて思い出したとき、

────ぱしゃんっ

「うわっ」

隣を通った車が水たまりをひいた。
あーあ。靴とスカート終わった。スカートはいいけど靴はすぐ乾かないのに。


「大丈夫?」


あ、昨日の美大生。

「……あ、もしかして昨日の高校生の子?」
思ったことと同じようなことを言われたから少しだけ面白かった。
はい、と答えると、屋根のとこおいでと連れてかれた。

「水かけられて不運だったねー」
その美大生がくれたタオルでスカートを拭いた。足はちょっと人のタオルで拭くのは申し訳ないからやめておいた。

「あ!そうだこれ、昨日落としていってたよ」
美大生の手には私の生徒証があった。
「失礼しますって言ってどっか行っちゃってしばらくしてから落ちてるのに気付いてさ。公園探し回ったんだけどいなくて。渡せてよかったー、これ失くしたらまた作らなきゃだよね」
いつもは財布に入れていた生徒証を、この前の撮影会で使ったときにカメラケースに入れて昨日もそのままにしていたから、なにかの拍子で落としたのだろう。

「あ、ありがとうございます。すいません」
美大生は優しくうん、と頷いた。
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