黒猫と竜は白薔薇に恋をする
見えてきたのは童話に出てくるような白亜の城。立派な門の前に近づいた時、暇そうな門番の顔がパッと輝く。


「アカツキさんとカナタさんじゃない
ッスかあ!!今日は星夜(せいや)様からの呼び出しッスか?」

「アカツキじゃないって、何回言えばわかるのお前」

「そうも読めるから問題ゼロッスよ!」


黒衣を纏った少年、暁(あき)が溜息をつく。この門番は昔から人の話を聞かない。かれこれ腐れ縁の如くよく会うため、いつの間にか緩い関係になってしまった。


「そうそう。学園王からの呼び出し。今の時期って丁度、春の大祭の準備でしょ?なのに呼び出しなんてーー暇なのかな」


背の高い青年ーーカナタが答える。


「確かにカナタさんの言う通りッスよねえ。暇そうには見えなかったんスけどね~ここ最近春の大祭の準備とかで、バタバタしてますから。みんなピリピリしてるんッスよ」


緊張感のないやり取りを交わしていると、城の中からもうひとりの門番が出てきた。

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