ママの手料理 Ⅲ
その直後、


『何じゃいゴラアァアアア!?』


最初に叫んだ銀ちゃんの声に負けず劣らずの大声で、壱さんが獣の如く叫んで応戦する。


『いいかよく聞け、パソコンが復活した!予備が今届いた!』


イヤホンを慌てて付け直した私の耳を揺るがすのは、銀ちゃんの嬉々とした声。


『今から、30階から44階までにある個室全てに遠隔操作で鍵をかける!該当する部屋の中にいるやつは今すぐ外に出ろ!密室にした後は再度電流を流して、中に居る奴を1人残らず丸焦げにするぜ!』


(!?)


パソコンが届いたという事は、伊織の到着が間に合ったのだ。


5階の踊り場に居る私は何の被害も被らない為、その場にしゃがんだまま指示を聞いていた。


『丸焦げ?致死量の電流は流さないでって言ったよね!?』


慌てて湊さんが阻止し、


『豚の丸焦げだ!…と言いたいところだったが、気絶するくらいに抑えといてやるよ』


何処か心残りがありそうな声色の天才ハッカーは、そこからしばらく黙り込み。


『…よし、後10秒だ。これが終われば、派手に遊びまくれ!』


壊滅じゃあああぁい!、と、今までとは一線を画すキャラ変を遂げた彼は大声で叫び、


プツン……


無線機の電源を落とした。
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