さよなら、愛してる〈不知火の姫 外伝〉
 俺の父親……繋がり的には一応そう呼ぶ男は、そういう店を幾つも経営している。

 一緒には住んでいないし、あの男を父親とは思っていないから俺はよく知らないが。わりと家柄がよく金持ちらしい。

 俺の母親は所謂(いわゆる)、愛人、と呼ばれる種類の人間だ。だから俺は、母親とあの男の不倫の果てに生まれてしまった、仕方のない子供。

 あの男には同じような境遇の母子が何人もいて、跡取りをその中から選ぶとかなんとか聞いた事がある。でも、頭も素行も悪い俺は、その跡取り競争から早々にリタイアしてしまった。

 だから自分は、あの男には燃えないゴミみたいな存在なんだと思ってる。
















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