ティアドール
「うわああ!」

その頃…突然足を捕まれたアルテミスの中では、コウが少しパニックになっていた。

しかし、ユーテラス内を包む温かい液体が、少しずつだが…コウの気持ちを落ち着かせた。

「ど、どうなった?」

コウの目が、アルテミスの目となり、状況を脳に伝えた。

「水の中!?」

驚いたが、息ができる事実が、コウを冷静にさせた。

「う、動けるか?」

キラーに足を捕まれ、猛スピードで水中を進むアルテミスの機体には、凄まじいGがかかっていた。

「だ、だけど!」

コウが何かを決意した瞬間、アルテミスの皮膚が変わった。

武装硬化の一種であるが、鮫の肌のようになると、かかるGが軽減した。

「動け!」

コウの声に呼応するように、アルテミスは起動し、かかるGとは反対方向に水をかき出した。



「な、何!?」

上空からのブシの攻撃に意識を向けていたマホメットは、いきなり泳ぐスピードが落ちたことに驚愕した。

「オリジナルフィギュアか!?」

マホメットがアルテミスを見ようとした時、機体が止まり…数秒後には、逆に引っ張られた。

「馬鹿な!?」

予想外の力に、キラーはアルテミスの足を離してしまった。

「こ、これが!」

マホメットは機体を立て直すと、目の前に浮かぶアルテミスを見た。

「オリジナルフィギュアか!?」

アルテミスの姿が変わっていた。

水の抵抗を最小限に抑える為に体を包んだ鎧。

そして、その動きは…魚を思わせた。

「速い!」

マホメットのキラーの周りをアルテミスは、回転し出した。

水が渦を巻き、渦潮の如く…マホメットの機体をそのままに巻き込んでいく。

「何!?」

空中で、キラーの指を掴んでいたブシは、思わず機体のバランスを崩しそうになった。

その為、河村は指を離した。

しかし、四本は機体を貫いていた為、ブシはやはりバランスを崩し、海面に向けて落下することになった。
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