契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
 だけど後悔はない。父には自分の気持ちをすべて伝えることができたし、誠吾さんが私の気持ちに寄り添ってくれた。

 どんな結果になろうとも、すべて現実として受け入れたいと思う。

 この日の夜は思った以上に浸かれていたのか、お風呂を済ませてベッドに入ったらすぐに眠りに就いてしまった。

 そして覚悟を持って出勤した次の日。事態は一変していた。やっぱり会社に着くと多くの視線を感じたんだけど、いつもとは様子が違う。

 だけど誰にも聞くことはできず、この日の乗務を終えると、オフィスで鉢合わせた真琴が興奮した様子で事情を説明してくれた。

 やはり父との空港ロビーでの一件のやり取りは昨日のうちに広まってしまっていたようで、だけど予想していた噂とは違っていた。

『もうみんなずっと真田さんと凪咲の話で盛り上がっていたよ!』

そう切り出した真琴の話はこうだ。父とのやり取りより、誠吾さんを交えてのやり取りが話題になってしまったようで、様々な憶測が飛び交っていた。
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