契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
「あのっ……! どういうことですか? どうして再婚したのに、私との結婚指輪を? 奥さんと指輪を買わなかったんですか?」

 気になることが多くて早口になる。
 答えが気になる私に向かって誠吾さんは、にっこり微笑んだ。

「飯行こうか」

「はい?」

 予想外の言葉が返ってきて、随分と間抜けな声が出てしまった。

「私の話、聞いていましたか? ちゃんと答えてください」

「答えるつもりだから食事に行こうって言ってるんだ。ここじゃ込み入った話はできないだろ?」

 そうだった、ここはいつ誰が通るかわからない玄関だ。

「最終便も到着しているし、そろそろ誰かしら通ると思うけど、どうする?」

 私に判断を委ねてきたけれど、私に断るという選択肢はない。

「行きます、食事。そこですべて話してください」

「もちろんそのつもりだ」

 なにもかもわからない。誠吾さんは再婚していたんじゃなかったの? ちゃんと聞かせてほしい。

「じゃあ行こうか」

「えっ? あっ」
< 51 / 236 >

この作品をシェア

pagetop