ゆっくり、話そうか。
その後すぐに夕食の時間になったが、やよいの心配も取り越し苦労に終わり、ちゃんと夕飯は用意された。
もう少し遅ければ担任に相談して捜索しようという話になっていたらしく、騒がせた罰として残りご飯で作ったおにぎりの取り分は一つ減らされてしまった。
残念である。

「肝試しは無しになっちゃったけど、キャンプファイアはできてよかったね」

広場の中央、設置されたキャンプファイアの炎に照らされた万智がやや悲しげな声を出した。
煙と雨上がりの空気の匂いが、少しばかり不快を煽る。

「そうやねぇ、結構楽しみにしてたんやけどなぁ」

肝試しが始まる時間帯から雨という予報となっていたので、中止が発表されていた。
だがキャンプファイアが出来るというだけでもいい思い出が作れそうだ。
キャンプファイアといってもフォークダンスを踊るのではなく、生徒や教師達が選んだBGMをバックに火を囲んで飲んだり食べたりするだけのもの。
だが、何をしても五感を刺激する高校生にとってそれは最大のパーティである。
はしゃいで撮った写真は一生の思い出だ。

「うわぁ、さっきから日下部くんの周り女子すごいね」

少し離れたところにいた別のグループの女子の声が聞こえ、ドキッとしたやよいが日下部を探す。
数人の男子とたむろしていた日下部の周りを、これまた数人の女子が囲んでいるのが見えた。

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