夕立とアイスとこーちゃんと♡



ある日の放課後―――



やっと授業終わった、さあ、帰ろう♪と大喜びで、鞄に教科書を積めていたところ、突如、黒い雲が現れて、まさかの大粒の雨が降り始めた。



窓の外を見つめて呆然とする…。


そういえば、天気予報では「夕立に注意。傘をお忘れなく〜」的なことを言っていた気がする。

だけど、私は遅刻ギリギリで急いできたため、登校時は傘のことなんて頭になかった。これはショック…。



『えー雨じゃん…。大音ちゃん、傘持ってる?』

「……忘れた」

『だろうな。大音ちゃんだもんね…』

「自分だって持ってないんでしょ!」



期待してないから…と、どういうわけか上からの…、つき合っても相変わらずのこーちゃんに反論していると、




『まーまー、仕方ないから俺の貸してやるってー』



俺って親切だろう?な感じでやってきた、こーちゃんの親友、吉田晴人が、どうやら傘を貸してくれるらしい。


借りる相手が吉田っていうのが嫌だけど、これはこれでありがたいので、甘えることにしーよう!とそれを受け取っていると、



『晴人、もう一本ないの?』

『はぁぁぁ!?あるわけないだろぉぉぉ!!!』



いきなりの大声に耳がどうかなりそう。


『るっせ…』と文句を言うこーちゃんにも気にせず、『ばかっ!!しずっ!!ばかっ!!』と、オーバーリアクションで超うるさい…。

気付いて!ほら、こーちゃんの目、怖いから…。

きっとあれだよ。“殺意を覚える”ってやつだと思う。


だけど、しっかり目を合わせたところで吉田の態度は変わらない。ここでも、ドMの強い心は健在だ。





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