一夜限りと思ったワンコ系男子との正しい恋愛の始め方
「美晴さんが冷たい飲み物飲むのを、初めて見た」
「さすがにこの暑さで、外でホットコーヒーは飲まないよ」
「確かに」
「でもコンビニの淹れたてコーヒー、好き」
「それは知ってる」
九月に入って最初の週末だ。秋の気配はまだ欠片もなく、夏が続いている。すでに夕方にはなっていたが日はまだ明るく、気温も下がる気配がない。冷房の効いているコンビニ店内ならいざ知らず、屋外なら冷たいものが欲しくなる。二人はそれぞれの飲み物を味わいながら、くつろいでいた。
「そうだ。今週の水曜日だけど、私、コンビニ寄らないのでよろしくです」
「寄らない?」
「うん。今週のランチはちょっと遠出するから、コンビニ寄る時間無くて。毎週水曜日の外食ランチもあと四回でおしまいだから、気になるとこ行っておこうかと」
「おしまい……。ああ、十月になったら本社に戻るって言ってましたね」
初回のフレンチでの会話を思い出す。あの時は十月といってもまだ先のような気がしていた。それがあっという間に九月になり、今月末で美晴の勤務地が変わってしまう。
「水曜日に会えなくなるのか……」
「でも、駅二つしか離れていないよ」
クスクスと笑いながら美晴が健斗を見る。その表情が柔らかい。
「それにこうして週末会えるしね。来週も、どこか行く?」
「行きます」
「どこに行く? なにか面白いのやっていないかな。美術館とか」
「市民フィルに行くのはいつでしたっけ?」
「それは三週間後の日曜日。来週と再来週は特に予定は入っていないから」
「いいんですか? 毎週末、俺と一緒で」
つい弱気になって、聞き返してしまう。
「いいよ。予定入っていないし。一人だと億劫になって家に引きこもっちゃうから、二人の方が出かけやすい」
スマホを取り出し、美晴が検索を始める。その気負いのなさから、やはりまだ健斗は恋愛未満の遊び仲間という感覚なのだろう。それでも、付き合うと決めたらとことん付き合おうとする。美晴の人の良さが現れているなと、健斗は思った。一夜を共にしたあとにそれを謝罪し、離れようとしたのも彼女の誠実さ故だ。
「さすがにこの暑さで、外でホットコーヒーは飲まないよ」
「確かに」
「でもコンビニの淹れたてコーヒー、好き」
「それは知ってる」
九月に入って最初の週末だ。秋の気配はまだ欠片もなく、夏が続いている。すでに夕方にはなっていたが日はまだ明るく、気温も下がる気配がない。冷房の効いているコンビニ店内ならいざ知らず、屋外なら冷たいものが欲しくなる。二人はそれぞれの飲み物を味わいながら、くつろいでいた。
「そうだ。今週の水曜日だけど、私、コンビニ寄らないのでよろしくです」
「寄らない?」
「うん。今週のランチはちょっと遠出するから、コンビニ寄る時間無くて。毎週水曜日の外食ランチもあと四回でおしまいだから、気になるとこ行っておこうかと」
「おしまい……。ああ、十月になったら本社に戻るって言ってましたね」
初回のフレンチでの会話を思い出す。あの時は十月といってもまだ先のような気がしていた。それがあっという間に九月になり、今月末で美晴の勤務地が変わってしまう。
「水曜日に会えなくなるのか……」
「でも、駅二つしか離れていないよ」
クスクスと笑いながら美晴が健斗を見る。その表情が柔らかい。
「それにこうして週末会えるしね。来週も、どこか行く?」
「行きます」
「どこに行く? なにか面白いのやっていないかな。美術館とか」
「市民フィルに行くのはいつでしたっけ?」
「それは三週間後の日曜日。来週と再来週は特に予定は入っていないから」
「いいんですか? 毎週末、俺と一緒で」
つい弱気になって、聞き返してしまう。
「いいよ。予定入っていないし。一人だと億劫になって家に引きこもっちゃうから、二人の方が出かけやすい」
スマホを取り出し、美晴が検索を始める。その気負いのなさから、やはりまだ健斗は恋愛未満の遊び仲間という感覚なのだろう。それでも、付き合うと決めたらとことん付き合おうとする。美晴の人の良さが現れているなと、健斗は思った。一夜を共にしたあとにそれを謝罪し、離れようとしたのも彼女の誠実さ故だ。