あなたが社長だなんて気が付かなかった〜一夜で宿したこの子は私だけのものです〜
式が終わりここに来て3時間も経ってしまった。
そろそろ、と思い立ち上がると足がもつれふらっとしてしまった。
彼はさっと私を受け止めてくれ、また椅子に座らせてくれた。
彼からはとてもいい香りがした。
彼のがっちりとした胸に抱き止められ私の鼓動が急に早くなった。

「ごめん、飲ませすぎたか?」

「いえ。つい私も今日は引きずったまま帰りたくなくて飲んでしまったんです。あなたと話していてとても楽しくて忘れさせてもらえてよかった。タクシーに乗って帰ります」

「タクシー乗り場まで送るよ」

そう言うと私は彼に支えてもらいながらラウンジを出た。
エレベーターで下りようと待っていると開いたドアから元凶のふたりが手を繋ぎながら出てきた。

お互い固まってしまったがすぐに彼女はクスッと笑い、声をかけてきた。

「雪先輩、ここで飲んでたんですか? 今日はありがとうございました。私たち幸せになりますね」

そう言うと可愛らしく元彼を見上げながら笑いかけていた。
それを元彼はどうしたらいいのか分からない表情を浮かべていた。

「う、うん……」

「ゆき、話はもういいのなら俺たちの部屋に行こう。それじゃ、おふたりともお幸せに」

そう言うと彼は私の頭にキスを落とし、支えていた手を腰に巻きつけ私を抱き寄せた。そしてそのままエレベーターの中に入ると23階のボタンを押した。

「おい、あいつらなのか? なんだ、あの女。腹立たしい」

「あ、ありがとうございました」

私は情けなくなり足に力が入らなくなった。
エレベーターの中でへたり込みそうになると抱き寄せていた手に力が入り抱え込まれた。

「大丈夫か?」

「は、はい……」

そうは言うものの情けなさの方が上回り涙がポロポロとこぼれ落ちてきた。
唇を噛み締め、涙を止めようとするが止まらない。

すぐに23階に着くと私は抱えられるようにして下され、部屋へと連れて行かれた。
ベッドに座らされるとペットボトルに入った水を渡された。

「唇を噛み締めるな。あんな奴らに言われたくらいで泣くな」

「振られたことで泣いてるんじゃないんです。あなたと話して吹っ切れたんです。所詮浮気するような男だし、あざとい女だし、と。でも実際目の前に現れても言われっぱなしなのが情けなくて。だから私はダメなんですよね」

私が泣き笑いを浮かべると彼は私の前に跪き、下から見上げるように私の顔を見てきた。

「君は何も悪くない。卑下してはダメだ。たとえ数時間しか話していなくても君が心の温かい人で、誠実で、頑張り屋だと言うことがわかったよ。とても素直で心の綺麗な人だ」

そう言うと私にキスをしてきた。

「泣いてはダメだ。可愛い唇を噛み締めてはダメだ」

キスを何度も落とし、髪の毛を撫でられると私はますます涙が落ちてきた。
情けなかった涙だったが今度は優しくされて気持ちが緩んでしまった涙だった。

私は自然と彼の服をしがみつくように握りしめていた。
初めは触れるだけのキスだったが徐々に形を
確認し合うように角度を変える。私の噛み締めていた唇を緩めると今度は舌で唇を開くように刺激してきた。
私は思わず口を緩めると開いたところから彼の舌が入ってきて私の中を確認するように刺激する。

「あ……ん」

声が漏れるとますます彼は私のことを抱きしめる力が強まり、座っていたはずのベッドに横にされていた。

「俺があんな奴らのことは忘れさせてやる」

そう聞こえたかと思うとすぐにキスが再開させられた。

ワンピースのファスナーに手が回り、下されたかと思うとそのままブラのホックまで外された。
半分脱がされたワンピースの合間から手が入ると胸に手を当てられ弧を描くように動き出す。尖り始めた先端を口にされ、私は思わず腰を動かしてしまう。
それを見逃さず彼はさっとワンピースを脱がせ、さらにストッキングや下着にも手をかけ下ろしていった。
彼から与えられる刺激に私は声が我慢できず何度も漏れ出てしまう。
その度に彼は「可愛い」と言って私をますます翻弄する。

「あん、もうダメ」
 
身悶える私を見て彼は跨ったままスーツを脱ぎ捨て上半身裸になった。
引き締まった彼の体を見上げると笑いながらまた私に覆いかぶさってきた。

「ゆき、入るよ」

私は頷くとすぐに彼は私を貫く。お腹の奥で疼いているのがわかる。
彼は私の体をなぞるように触れると私の感覚を敏感にして行く。
彼の律動を感じ、私はもう何も考えられなくなった。

「ゆき、可愛いよ」

そんな声が遠くから聞こえてきた気がした。
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