夏樹先輩、好きでした。


私、荻野(おぎの) 花梨(かりん)が夏樹先輩と出会ったのは、私が高校に入学して間もない頃だった。


「花梨! ご飯食べよ〜!」


4限目の授業が終わって、お昼休み。

同じクラスで席が前後ということがきっかけで仲良くなった加藤(かとう) 椎菜(しいな)が、私に声をかけてきた。


椎菜の肩に少しかかるくらいのきれいなストレートの茶髪はサラサラで、思わず触りたくなっちゃう。


「椎菜、私もうお腹空きすぎて死にそう」

「花梨、授業中お腹めっちゃ鳴ってたもんね」

「えっ、嘘! お腹の音、聞こえてた!?」


椎菜は私の後ろの席だから、聞こえていた可能性も十分有り得る。


「まっ、嘘だけど」

「嘘って、もう! 椎菜〜〜」


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