冬の夜、君と2人で。
もういっそ、伝えてしまおうか……。

けど、伝えてしまえば、冬夜くんを困らせるに決まってる。

困らせるのも、勘違いされるのも嫌だった。

私が2つの気持ちを天秤にかけ、悩んでいると、

「弥生が好きなその人は、きっといい人なんだろうね」

なんて言い出すものだから、

「私はっ……」

『冬夜くんのことが好きなの』そんな言葉が口をつきそうになった時、聞き覚えのある声が聞こえた。

「あれ、如月さん? って、隣にいるのって樋渡冬夜!?」

「えーっ、うそ!? T大の王子様がいるー!!」

私の高校の同級生で、学年の中でも絶対的な存在感のある人たちだ。

その隣にいるのは、おそらく冬夜くんの大学の人。

「おまえって女いたの!? まぁおまえならモテるから選び放題だよなぁ」

私なんかと付き合ってるなんて誤解されるなんて、冬夜くんに申し訳ない……。

ていうか、冬夜くんに、なんてことをっ……!!

思わずキレそうになってしまい、私が口出ししようとしたとき、

「そんな訳ないじゃん! だってあのT大の王子様とはいえ、如月さんなんかと付き合う趣味なんてないでしょ~!」

「そうそう! 選び放題ならなおさら、私たちの方が釣り合ってるし」

確かにそうだからなんの反論もできないけど、グサッときてしまう……。
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