溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
そんな戯言のために、僕と真白ちゃんは被害を受けている。


「……けど、優星、お前が真白ちゃんにちょっかいをかけたって、なにもならないぞ?そんな不利益なことしてる暇があったら、好きな人でも見つけたらどうかな?」


僕は嘲笑うように微笑んだ。


「あはは。生憎俺は女嫌いでね」

「そんなことは知ってる。」

「……嫌だなぁ、本当に、お前だけじゃないか、僕と同じ立ち位置にいるヤツ」

「だからなんだよ」


……いや、ちがう。


僕は最初から、優星と同じ位置になど立っていなかった。


「……幼い頃、“自分の意志”で逃げた僕は、その時点でもう幸せを掴んでたんだよ」


僕の目の前に天使が現れたから。


「……はは、そっか。じゃあ、もうやめるよ。諦める」

「……ああ」


……なんか、すごい怪しいな。

絶対コイツ、また真白ちゃんにちょっかいかけるだろうから……明日は見張っていよう。


今日で解決したかったけれど……まぁいいか。


……やっぱり、僕がここまで強くなれたのは真白ちゃんのおかげだ。


だから僕は、こんなヤツ(優星)のために、真白ちゃんを渡したりなんて絶対にしない。

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