溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
顔もよくてお金持ちで、頭もいいとか……神様は残酷だ。


「ふふっ、別に普通だよ?」

「普通じゃないですよ……!あ……きっとものすごい努力をされたんですね……」

「……え?」

「?どうかしましたか?」


あれれ……?なんか気に触ること言っちゃったかな?


「いや、ううん」


先輩はなんだか少しだけ嬉しそうな顔をして私から視線を離した。


もしかして……喜んでくれてる……のかな?

ふふっ、なんだかあからさまで可愛いかも。

って!そうじゃなくて……!!


「……まぁいいや。じゃあ、明日休みだから真白ちゃんの家行くね」

「んぇ!?」


そ、そんな急すぎ……!!


「真白ちゃんからお母さんには事情説明しておいて、よろしく」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「じゃあね〜」


手を無気力に振った先輩は、私のことなんて無視して歩いて行ってしまった。


ど……どうしよう!?

もう、最近私流されすぎだ……。

莉奈ちゃんと帰りたくても、莉奈ちゃんは東さんに、私は千星先輩に流されて別々で帰させられるし……。


はぁ……。


「あ、姉ちゃん。おかえり」


そう言ったのは……

「真冬……!!おかえり」


弟の、真冬だった。




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