溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。

「だって真白ちゃん抵抗してないよ」

「し、してますよ！先輩の力が強いだけでっ……！」

「はいはい静かにしててね」


もう片方の手であやすようにぽんぽんと撫でられる。


か、敵わない……！


「……それでさ、真白ちゃんに関わんの、やめてくんない？」


驚くほど低い声で、にっこり目の笑っていない笑みを浮かべた千星先輩。


私に関わるのを、やめる……？


「な、なんでですか！？私、なにか真白ちゃんにしましたか！？」

「……あからさますぎるんだよね。」

「え？」

「これから、真白ちゃんをいじめそうだなぁって思ったから」


……え？

小華井先輩が、これから私をいじめる……？

そんなことあるはずない……


よくわからなくて、ボーッとしてしまう私。


「っ……！佐伯先輩のバカ……！私、先輩ののとが好きなんです！！」

「……で？」

「だからっ……だから……。ううっ……もういい！」


そう言った小華井先輩はどこかへ走って行ってしまった。

……千星、先輩のことが、好き……？


ドクッドクッと心臓が嫌な音を鳴らし始める。


「……真白ちゃん、大丈夫？」


先輩は私の肩を掴み、視線を交わらせる。


「っ……先輩、最低です！」

「なにが？」

「あんな振り方……ひどいっ……」

「あはは」


なにが面白いんだか……！


けれど、私の心の内でモヤモヤしている感情。


それはきっと、



先輩に告白して、振られて、あの冷たい視線を浴びさせられることが怖いんだ。