仮面王子とのメモワール


「ね〜やばい。さっき王子の横顔写真ゲットしちゃった〜っ」

「えーうそっ!いいなー送ってー!」


キャッキャと騒ぐ女の子たちが、入れ違いで階段を降りて行く。


もう下校時間だ。廊下は静まり返っていた。


私も急がないと。

パタパタと廊下を走り抜けて、自分の教室のドアに手をかけた。


そのときだった。



「───うるせぇな。わかってるよ、んなこと」




ピタリと動きが止まった。


誰か、いる……?

すっかり静まり返った廊下に、教室の中から声が漏れ聞こえる。


話し声はするけど、聞こえるのは1人の声だけ。ってことは、電話だろうか。


< 33 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop