仮面王子とのメモワール


未央と別れて家に帰ってくると、バフっと自室のベッドに寝転んだ。



あー、もう。


律紀が帰ってきてからというもの、毎日毎日頭に浮かんでくるのは彼の顔。


脳内に浮かんできては、追い払う。その繰り返し。


これじゃまるで未練たらたらだ。

未央には心配をかけたくないものの、どうしても気になってしまうことはやめられない。



起き上がって、机の引き出しに手をかけた。


なんとなく、そういう気分になったから。


引き出しの、一番奥。

可愛いという理由でずっととっておいた、お菓子の缶箱。


その箱を出してきて、机の上に置いた。



「……懐かしいな」


見つめること数秒。

高校に入ってから、一度も開けなかったこの箱の蓋を、私は久しぶりに開けた。


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