仮面王子とのメモワール
観念して本棚の影から姿を見せると、やはり私だと確信していたらしい律紀がフッと口角を上げた。
「覗きとは良い趣味してんな?唄」
「……なんで私だってわかったのよ」
なんだかバレていたことが悔しくてキッと睨むけれど、そんなの彼には効果なし。
「アホか。んなもんすぐにわかるわ」
「だから……」
なんで、ともう一度聞こうとして辞めた。
何度聞いたって、どうせロクでもない答えしか返ってこない。
本当、この豹変ぶりは異常だ。
律紀のファンが見たらきっと泣くだろう。
「へぇ。お前まだこんなん読んでんの?」
「ちょっと!」
いつの間にか歩み寄ってきていた律紀が、私が持っていた本をヒョイと取り上げた。