雨降る日のキセキ
第3章

仲直り

手痛い敗戦に落ち込んでいる時間はなかった。


敗戦の翌々日、新チームでの練習が始まり、新しいキャプテンが任命された。


キャプテンは千隼くんかと思っていたけど、監督が指名したのは翔吾だった。
 

代わりに千隼くんには副キャプテンの座と、絶対的なエースという役割が与えられた。


翔吾と千隼くんを中心に、新チームは再スタートを決めたんだ。
 

この夏味わった雪辱を果たすために。





一昨日は激しく落ち込んでいた千隼くんも、元気を取り戻しているようで一安心だ。


ただ、翔吾と千隼くんの間には亀裂が走っているまま。


いつも一緒にキャッチボールをしていたのに、それぞれ別の1年生をキャッチボール相手にし、目も合わさない。


当然、口も利かない。


チームを県予選決勝まで導いた名バッテリーの仲違いに、下手に触れることもできずチーム全体が戸惑っている。


特に1年生は、そんな二人の様子をビクビクしながら伺っていて可哀想だ…。


チームは新しくなったのに、こんな空気じゃいけない。


来週からは合宿が始まる。


それまでに空気を入れ替えなきゃ。勝てるチームづくりをする。


それが私が心に誓った目標だ。


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