雨降る日のキセキ


翌日、教室で顔を合わせても千隼くんは私に何の反応も示してくれなかった。


「千隼くん、おはよう!」


「…はよ」


わざと大きな声で挨拶してみたけど、素っ気ない返答しかなかった。


「千隼くんどうしたの?あまりにも覇気がなくない?」


夏菜が心配そうに千隼くんを見ている。


「翔吾の怪我がよっぽどショックなのかな…」


「ったく…。どんだけ翔吾のことが大好きなのよ」


それだけじゃなく、授業中は上の空。


部活中もいつものキレはない。


翔吾が怪我をしてからの千隼くんは、私が知らない別人のような千隼くんだった。


そして、千隼くんが輝きを取り戻す間もなく秋季大会の初戦が始まった。
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