雨降る日のキセキ
「諦めたんならどうして今練習してるんですか?なんのために?急いで怪我を治す必要なかったじゃないですか。リハビリを頑張った意味もないじゃないですか」


翔吾の顔が苛立ち一色になる。


それでも真子ちゃんはやめなかった。


心に溜まっていた鬱憤を晴らすように。


「あの望月さんが野球を辞めるなんて、よっぽどのことがあったに決まってるじゃないですか。それなのに何で支えようともしないんですか?誰よりも大切な戦力なのに。どうして?」


グシャッ…


翔吾が持っていたペットボトルが握り潰される。


「真子ちゃん…、もうやめなよ…」  


「千紘さんも同じですよ!私は甲子園に行きたい。どうして諦めなきゃいけないんですか?どうして、簡単に諦められるんですか?」


「真子ちゃ―」


それ以上言うと翔吾が怒る。


そう思って止めようとしたけど、もう遅かった。


翔吾はペットボトルを地面に投げつけ、真子ちゃんを鋭く睨みつける。


そして、何も言わずにグラウンドを出ていってしまった。
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