雨降る日のキセキ

1日目はそうやって乗り越えたけど、その翌日からは嫌がらせのように毎日赤坂くんが部活に姿を見せる。


真面目に練習する素振りなんてなく、ニヤニヤしながら私の周りをうろついている。


翔吾が時折赤坂くんに睨みを利かせてくれているからか、直接手出しはしてこないけど、それでも心にかかる負担は大きかった。


部活に行きたくない。


部活に行くのが怖い。


でも行かなきゃ。


そんなふうに葛藤し、恐怖を押し殺し続けて1週間が過ぎた。


「…もうやだ……」


一人になる度に言いようのない不安に襲われ、倉庫での出来事が蘇る。


もうそんな生活、疲れちゃった…。


でも、部活には行かなきゃ。


迷惑はかけられない。


「千紘?顔色悪いけど―…」


夏菜の声が遠くに感じる。


部活行かなきゃ……。


「ちょっと千紘…!?大丈―…」


あ…倒れる…


そう思った時にはもう目の前は真っ暗で、意識を失っていた―。
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