雨降る日のキセキ

治癒


マネージャー3人で頑張って作ったお守りは好評で、辛口な翔吾ですら褒めてくれたくらいだ。


全員がカバンにお守りをつけ、球場まで並んで歩いている。


県予選初戦。


去年、この場所で散った夢。


あれから何度もぶつかり合い、一度は離れ離れになった。


それでも再び集まって、リベンジを誓った。


「絶対勝つから。俺が千紘を甲子園に連れて行く」


隣を歩く千隼くんが力強く言った。


「信じてるね。千隼くんなら絶対大丈夫だよ」


出逢って間もない頃に交わした約束を思い出す。


あのときは朝陽くんに囚われて甲子園にこだわっていたけど、今は違う。


きっとそれは千隼くんも…。


自分のために、チームのために。


決して朝陽くんのためじゃない。


眩い日の光に照らされながら、私たちは勝利を誓った。


自分たちの夢を叶えるための勝利を。
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