雨降る日のキセキ

挨拶

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「久しぶり、朝陽くん。8年ぶりだね」


雑草ひとつない綺麗に整備されたお墓。


小高い丘の上にあるこの場所は、常にトップレベルだった朝陽くんにピッタリだ。


「8年間も会いに来なくてごめんね」


お父さんお母さんにお墓参りに行くことを何度も勧められたけど、その度に断ってきた。


高校一年生のときは、本当に近くまで来たんだけど、結局お墓に足を踏み入れることはできなかった。


だけど、今ようやくこうして来れた。


どれもこれも千隼くんのおかげだ。


やっと、朝陽くんは“過去の人”になったんだ。
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