【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-



その言葉に綺麗に口角を上げてみせるだけで自分の魅力を引き出してしまうのだから、どう足掻いたって「ずるい」。

そしてその表情を、他の誰にでもなくわたしにだけ見せてくれるということも。



「女避けになりそうだな」



「まあ、そうね」



まつりが自ら選びそうなデザインではないし。

少なくとも女性が関わってそうな感じはあると思う。一応本人の意思で選んでたけど。そろそろほかの店でも見に行こうと、ベンチから立ち上がった。



「いいんじゃない。

わたしだけだって言ってくれてるみたいで」



「……ずるいのはどっちだよ」



ため息をつきながら、立ち上がるまつり。

面倒そうだけれど、嫌ではないでしょ?




「何か見たいものある?」



「……服?」



「あら、意外ね」



「この間いとこの服選んでやってただろ」



「まつりって嫉妬深いの?」



「……うるさい」



差し出された手を、恋人繋ぎで握り返した。



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