閉園間際の恋人たち






お元気ですか?
あなたと会わなくなってしばらく経ちますが、風邪などひかれてませんか?

突然こんなメールをしてしまって、ごめんなさい。
だけど、どうしてもあなたに伝えたいことがあったので、最後のメールを送らせてもらいました。
私はもう、あなたと会うことはないでしょうから…

でも誤解しないでもらいたいのは、私がこれまであなたに伝えた言葉に嘘はなかったということです。
短かったけれどあなたと過ごした時間は何物にも代え難く、どれも幸せな思い出ばかりで、今も私の日々を支えてくれています。

私は、本当にあなたが好きでした。

だけど、私には、あなたよりも大切な存在があります。
そしてあなたにも、私よりも大切にしたい存在があるのではないですか?
優しいあなたのことだから、私が傷付くと思って言い出しにくかったのでしょうけど、私はそこまで鈍感ではありません。
あなたの心がどこにあるのかなんて、すぐにわかってしまいました。
あなただって、本当はとっくに勘付いているのでしょう?

互いにその存在の大きさに気付いた今、私はもうあなたと会うべきではないと思いました。
幸い、今ならまだ間に合います。
これ以上の時間を重ねる前に、答えを出しましょう。
確かに私はあなたに会えなくなって傷付くかもしれないけど、どうせこのままあなたにしがみ付いてたとしても、あなたはいつかきっと、私から離れていくでしょうから…
それほどに、あなたの心は透けて見えてました。
だから、その時が訪れて、もっとたくさん傷付くより、今のうちにさよならを選びます。

あなたも、あなたの大切なものを、夢を、大切にしてください。
どうか、幸せに。


さようなら。
心からの感謝を込めて。











< 2 / 340 >

この作品をシェア

pagetop