【短編】赤い瞳に囚われて
黄昏
 魔王が統べる魔界。

 魔女、人狼、吸血鬼。

 そんな魔族と呼ばれる人たちがいる場所。


 そういうものはファンタジーな世界の話だと思われていた。

 創作物、作り物のお話の中にしかないもの。


 でも、2000年代。

 世界各地で時空の歪みが発見され、その魔界とつながっていることが判明した。

 しかもその歪みは発見と同時に大きくなり、モンスター、怪物と呼ばれる魔界の住人達がこちらの世界に自由に来られるようになってしまう。


 創作物のように人間は食い物にされるかと思われたが、魔界の住人たちは意外にも友好的だった。

 彼らは人間の精気を吸い取ることはあっても、直接死につながるような危害を加えることはない。

 そして何より、魔界の住人はすべてが見目麗しかった。


 人類に危害が加えられないこと、彼らが身体的にも頭脳的にも人間より勝っていること。
 そして何より友好的だということで、人類側も彼らと友好を築くことを決定した。

 時空の歪みがある場所には街や学校が作られ、魔族と人間が共生する場所が作られていく。


 この日本にも一つそんな街が作られた。

 光と闇の境界線――黄昏(たそがれ)

 そこに建てられた黄昏学園では、魔族の生徒である宵闇生(よいやみせい)と人間の生徒である黎明生(れいめいせい)が区別されつつも友好的に生活していた……。
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