クールな御曹司は離縁したい新妻を溺愛して離さない
正式にメリディアンから発注を受け、はなみずき製菓は今までに比べ活気が戻ってきたように思う。

秋に向け新作の準備を始める従業員の顔も力がみなぎっている。

「美波のおかげね。美波がご縁を繋いでくれたからね。多岐川さんに感謝しないと……」

母はしみじみと呟いた。
私も頷くと修吾さんへの感謝を口にした。

「そうだね。彼のおかげでメリディアンホテルとのご縁を頂けたから今が頑張り時だね。このチャンスを生かして他でも使ってもらえるよう頑張らないとね」

ご縁を繋いでくれたのは修吾さんの力。
でもここからは自分達の力で頑張るしかない。系列ホテルを始めとするグループ内で起用されるよう邁進しなければならない。
修吾さんと結婚したからといってあぐらはかけない。いつか終わりが来るその時に、離婚と同時に契約を切られることがないように頑張らないといけないと私は別の意味で背筋が凍る思いがした。
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