クールな御曹司は離縁したい新妻を溺愛して離さない
彼女に勧められ購入したものはとても美味しかった。
味はもちろんだが彼女に会いたくて、何度でも行きたくなる思いに駆られてしまう。
どうにか気持ちを押さえつけ、やっと訪れた2回目の店舗への訪問の際、彼女の困り顔を見てチャンスだと思った。
下心がないと言ったら嘘だ。
彼女からはなみずき製菓が困っていることを聞いて力になりたいと思った。

彼女に政略結婚だと持ちかけると驚いていたが了承してくれた。
俺は握り拳を作り、こっそりガッツポーズをした。

一緒に暮らし始めると彼女の家庭的なところに更に惹かれた。
けれど、彼女にどうしても手が出せなかった。

初めて同伴したパーティー。
彼女のドレスアップした姿に思わず息を飲んだ。
普段シンプルな格好が多く、それも可愛いがこのブルーにドレスを着た彼女は綺麗で髪をアップにしたうなじもそそられるものがあった。
彼女の手を引き会場へ入ると、俺は苦労して手に入れたシャンパンを彼女に飲んでもらえることや、彼女の姿についいつもより気持ちが昂っていたのかもしれない。
彼女が靴擦れを起こしていたことに気がついてあげられなかった。
男性が近づいてくるとあっという間に美波は会場の端へと連れて行かれてしまった。
焦った俺は彼女の元へ行きたいが話し好きな社長に捕まってしまい離してくれない。
俺は相槌を打ちながらも目で彼女を追っていると、あろうことか男性が彼女の足元に手を触れているのが見えた。
駆け寄りたいのをぐっと堪え、ようやく話が終わった時にはだいぶ経ってしまっていた。
慌てて美波の元へ近寄ると、先ほどの男性に微笑みながら食事をしており無性に腹立たしかった。
俺は男性にお礼を言うが否や彼女を抱き上げ会場を後にした。
もう2度とパーティーへは連れて行かない。誰にも美波を見せたくない、家に囲い込んでしまいたい。
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